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ホーム >特集 >2010年1月25日号 緊急企画取材 X線(透過・後方散乱)・ミリ波探知器が主流   広告のお申込はこちらから
 

特集

緊急企画取材 X線(透過・後方散乱)・ミリ波探知器が主流

欧米が空港でのテロ企図者、ボディスキャナーで監視強化 編集部
 
Smiths Heimann Gmbh「eqo」
全日空商事 後方散乱X線探知器「Secure 1000」
双日エアロスペース 先進的対人検査機「SPO-7R」
双日エアロスペース 先進的対人検査機「SPO-7R」
日本エアロスペース アクティブ・ミリ波式3D画像検知システム「ProVisionTM」
日本エアロスペース アクティブ・ミリ波式3D画像検知システム「ProVisionTM」
ポニー工業 後方散乱X線検査システム「Smartcheck(スマートチェック)
ポニー工業 後方散乱X線検査システム「Smartcheck(スマートチェック)
英ThruVis ion社製 「テラヘルツ パッシブスクリーニングシステム」(T-8000)
東北大学、マスプロ電工、中央電子 「ミリ波パッシブ撮像装置」
東北大学、マスプロ電工、中央電子 「ミリ波パッシブ撮像装置」

 9.11米国同時多発テロ以後、米国をはじめ世界中を新たに震撼させた航空機爆破未遂事件が昨年発生した。周知の通り、イエメンを拠点とする国際テロ組織アルカイダ系組織の活動家が、昨年暮れの12月25日、アムステルダム発・米ノースウエスト航空(NWA)253便に乗客として乗り込み、ミシガン州デトロイト空港に到着する際同機を爆破しようと試みたが、幸いにも不発に終わった事件。これを受け、米運輸安全局(TSA)は昨年暮れから米国便の検査強化を指示したほか、英国空港管理会社BAAが、ロンドン・ヒースロー空港に搭乗者の全身を透視できるスキャナーによる保安検査を実施する事も明らかになった。更に、オランダのスキポール空港でもスキャナーが17台活躍する中、今後60台まで新たに導入するとされ、世界主要空港が最新のスキャナーを使った、搭乗者を厳しくチェックする保安体制を導入し、テロ・犯罪者を炙り出す事に懸命。現在、日本ではこうした動きはないものの、今後テロ活動が更に活発化すれば、(ICAO、及びTSAなどを通じ)世界情勢として米国便の搭乗者を更に厳しくチェックする体制が必要になる事も十分、予想される。その際、導入における人体への危険性などはないか。反対に利点は何か。
  そこで、国内に拠点を置く企業(メーカー・商社)に製品、及び世界での導入実績などを緊急取材した。(順不同)。

◇      ◇

 セキュリティ機器の製造・販売を行っているスミスグループのスミス・ディテクション(本部=イギリス)の日本支店であるSmiths Heimann Gmbh(千葉県浦安市美浜1-9-2、小久保裕人代表、TEL047・354・7490)は、税関向け大型X線貨物検査装置や液体物を開封することなく中身の爆発物検査が可能なハイグレードマシン「HI-SCAN 6040 aTix」を本格的に販売攻勢する中、搭乗者を隈なく検査できるシステムとしてミリ波(アクティブ)、及びX-線(透過)システムを揃える。まず、人体への影響が少ないミリ波を使ったシステムが、「eqo」。アメリカではTSA実証試験(トライアル)が間もなく終了予定で、アップルーバルへ移行する上、別分野では既に2台納入されているほか、まもなくTSAに5台納入される運び。
同機は人体への影響が少なく、撮像画(顔)にはモザイクを施す事でプライバシーを完全保護。また、大きさとリアルタイム画像も優位性に富む。製品は1.7(D)×2.1(W)×2.5(H)m、重量も400kg以下とコンパクト。しかもフィットプリント(設置面積)が小さいため、設置場所を選ばず、左右どちらでも設置が可能。検査時に搭乗者がゆっくり回ると、投射ミリ波の人体皮膚からの放射エネルギーを受信器が検知し、2フレーム/秒の3次元白黒シルエット映像(光学写真ネガ状)をリアルタイム・フルモーションとしてモニターに映し出す。探知可能物質は刀剣類・爆薬・麻薬類から液体、プラスチック、セラミック、木製品、皮革、紙、金属など。分解能力は最小が4×4mm、分解能力は約2cm。そして、検査時の所要時間は一人当たり僅か10秒、1時間当たり200〜400人処理できるため、スループットを必要とする空港等の検査に最適。価格は未定。
 このほか、X-線(透過)「BS16HR DV」《2.6(L)×2.3(W)×2.5(H)m、重量1110kg》は、投射X-線が対象物を透過した後、吸収/減衰度を検知し、モニターに2次元映像を映し出す。低放射はマイナス0.2μSv、標準放射が2.0μSv。因みに医療CTは100万μSv。銃刀・爆薬をはじめ、麻薬、禁制品、衣服下、体内、義足・義手内に隠された者も探知可能。処理能力は5〜10秒。南アフリカ・南米などの金・ダイア鉱山の採掘現場やシンガポールの刑務所などの入退室管理など、既に39台が導入されている。更に、圧縮空気を吹きかけ、爆薬類の残留/残滓を吸収しIMS(イオン移動度)を測定するイオンスキャン「IONSCAN SENTINELU」を備える。2次元画像で、探知可能物質は爆薬や麻薬類。


▽ANAグループの全日空商事(東京都港区東新橋1-5-2、機械部セキュリティ機器プロジェクトTEL03・6735・5198)が扱うのが、米Rapiscan製の後方散乱X線探知器「Secure 1000」(ラインナップは片面、表・背面両方のシングルポーズ、可搬式の3機種)。
最大の特長が、ミリ波が体など伝導性の物体には上手く反応するのに対し、X線による後方散乱波方式では非伝導性の物体にも鋭く反応する点。同標準機「Secure 1000」(表・背面両方のシングルポーズ)の大きさは2660(D)×1360(W)×2030(H)mm。重量は500kg。
撮影検査方式は投射X-線(低レベルX線・10μSRemのため人体への影響なし)の対象物からの散乱波を検知する方式。スキャンレートは1映像が5〜7秒で、全体の検査時間は10〜20秒、稼働処理速度は240人/h。また、運用は専門官が入るモニター室と被験者は隔離されており、オリジナルの2次元映像を専門官がモニターで確認する際、撮像したデータは疑わしい場合を除き削除される(上書きも)ため、プライバシー保護は万全。  
最近、ヒースロー空港が実施した搭乗者への保安検査アンケートで、ボディタッチ、及びX線スキャナーという2者択一では、95%がX線スキャナーを選択したというデータが報告されている。また、検査の際、男性には男性保安検査員、女性には女性保安検査員の同性が任務にあたるなど、ストレスフリーの向上にも努めている。 
検査対象物は固体・液体爆薬・セラミック製品や人体など。
なお、同機はTSAの認証を取得しており、昨秋150台を受注したほか、これまで英ヒースロー空港、マンチェスター空港をはじめ、米オハイオ州クリーブランド・ホスキンス空港、フィンランドのヘルシンキ・マルミ空港や米軍など、世界中で数多く導入されている。


▽総合商社・双日グループの専門商社として防衛・宇宙航空関連、物理的セキュリティ製品等を販売する双日エアロスペース(東京都港区赤坂2-17-22、土井正史社長、TEL03・5574・6086)は、英・キネテック社製のミリ波を使った遠隔性・機動性を併せ持ち、しかもプライバシー問題が発生しない先進的対人検査機「SPO-7R」を国内販売している。
  同機は、TSAが空港、鉄道、イベント会場などでテストランした結果、これまでに20台を実装しており、自動的に2ヵ所の計測部位を走査し、人体と物質から放出されるミリ波痕跡の差異を分析する事でスリットバーに置き換えて表示する仕組み。即席爆弾など異質物を秘匿している場合、差異から瞬時に判断できる。更に、透過画像が出ないため、X線透過画像の様なリアルな人体画像によるプライバシー問題などの課題も発生しない。

  一方、同機はミリ波カメラレンズを内蔵したセンサーヘッドと広角用カメラ・較正ポッドの検知部、及びパワーサプライユニット+システムコンピュータ+モニターで構成され、パン・チルト型三脚に設置する可搬タイプ。従って検知場での設置は30分以内、と機動性に富むのも特長。更にオプションで車載式、天井、壁固定式も選択できる「Mk2」型を今春発売する予定。
また、運用については、遠隔センサーを搭載しており、Mk1A型で4〜9m、Mk2型が4〜15m先の人など対象物を検知測定できるため、保安検査場といった特定エリア以外の非協力的環境下(オープンエリア)でも被験者が所持する持物を出す事無く検査できるほか、検査場前レーンなど制限区域でも人に威圧感を与えないストレスフリーでフィルタリングできる。しかも、屋内・屋外、昼夜といった環境を選ばない上、CCTV可視カメラとの統合もできる。


▽伊藤忠商事系の航空・宇宙機器専門商社・日本エアロスペース(東京都港区南青山2-5-17、田村和之社長、宇宙航空機器本部セキュリティシステム部TEL03・5785・5973)は米国L3Security&Detection Systems社製の爆発物、並びに危険物検知関連商品を扱う中、X線検査装置や手荷物検査を自動で行うインラインスクリーニングで活躍するEDSでは確固たる国内実績を誇る。そして、現在販売する人体向けミリ波ボディスキャナーがアクティブ・ミリ波式3D画像検知システム「ProVision」。
  同機は2008年のTSA評価テストを経て、2009年には適格製品(QPL)として認証済み。既にアメリカの19空港に40台が導入され6空港でプライマリー、13空港ではセカンダリーで運用中。
  特長は、保安検査員によるボディタッチやX線を使用せず、自動検知機能による高速、かつ身体周辺に微弱なミリ波(アクティブ型)を使用し、非接触方式にて人の身体をスキャンすることで、衣服の下に隠し持つ物を検知し、3Dのフォログラフィー画像をモニター確認できる。検査対象物は金属類、プラスチック、木材製品、CD-ROM、USBメモリー、資料などあらゆる物質を検出可能。また、検査作業は遠隔操作で行い、スキャニング室と専門官の居るモニター室は隔離できるほか、3次元白黒シルエットにはモザイク処理によるプライバシー保護も可能。本体の大きさは、2651(D)×1948(W)×2665(H)mm。導入の際の画像検査技術などのオペレータ教育も完備している。更に、国内電波法に則り、同機は既に日本でも微弱無線設備性能証明を取得済み。電波強度は携帯電話の1万分の1、と人体に全く影響がないほか、検査スピードはスキャンしてから画像検出まで2〜3秒。実際導入されているオランダ・スキポール空港では210人/時間の処理能力が報告されている。  
  なお、同機の前身である「セーフスカウト」はPFI刑務所である島根あさひ社会復帰促進センター(島根県浜田市、落札者・大林組・ALSOKグループ、2008年10月開所)で導入されているほか、民間分野でも7台が既に稼働している。また、2008年開催のリスコン(危機管理産業展)でデモ機を出展披露したほか、既に関西、成田、中部の各国際空港で実証試験済み。
  同社では今期で5〜10台の販売を見込む。


▽国内非破壊検査のトップ企業・非破壊検査鰍親会社に持つポニー工業(大阪市中央区北久宝寺町2-3-6、横野泰和社長、代表TEL06・6262・2451)のセキュリティ関連商品の代表格であり、ボディ(人体)検査を行うのが、世界初・国内初として市場参入した米・AS&E社が開発した後方散乱X線検査システム「Smartcheck(スマートチェック)」。
  金属探知機は人が身につけている金属を探知するとアラームで知らせるが、爆発物や麻薬等の探知が出来ないほか、爆発物探知機は爆薬のみに反応するため、金属の拳銃やナイフ等には反応しない。そこで、後方散乱X線を用い、照射されたX線により対象物からの後方散乱線を利用して画像化することで、衣服の中に隠蔽された、プラスチック製兵器、爆弾、麻薬、セラミックナイフなどの有機物(白く画像化)のほか、金属製拳銃、ナイフ、電子部品・電気製品といった無機物(黒く画像化)を知らせるのが、世界初の「Smartcheck」。また、その他の怪しい物質も鮮明な体の輪郭からはみ出すため、検出が可能。
  装置サイズは、1630×1170×2290(H)mm。重量は680kg。スキャン速度は8秒/スキャン、処理時間は200〜400人/h(正面、あるいは背面いずれか一方のスキャンの場合、400人/h、両方スキャンの場合、200人/h)。
  また、一回当たりのX線照射線量は0.06μSv以下。因みに、一年に人間が浴びる自然界放射線量は約3600μSv、医療用X線による胸部検診の場合、約100μSvであり、人体への影響はほとんど無いレベルといえる。
  一方、鮮明な画像撮像ができるため懸念されるのが、プライバシーの保護。同機はオプションでプライバシーフィルターを備えるが、使用時での検出能力は低下しないほか、ボディ輪郭はソフトウエアで自動に輪郭抽出処理・判別するほか、保存・転送の保護も兼ね備える。また、オペレーターはリモート機能により、スキャン中の画像を見ることなく、プライバシーフィルター画像のみを見る事も可能なほか、特定の保安担当者のみがオリジナル画像を監視でき、不審物を発見した時点のみ、別な場所にいる保安検査員に通報し、詳細な検査を実施することで安全、かつプライバシーに配慮した検査が可能。ポニー工業は自ら熟練したメンテナンス部隊を配備し、ユーザーのアフターサポートを国内で対応している。
  こうした利点から、米・フェニックス空港をはじめ、その他の空港にて既に実用試験開始しているほか、税関、政府機関、刑務所、軍事施設や原発等テロ対象の危険性が高い施設での導入が有力。因みに、「Smartcheck」の国内導入はまだないが、後方散乱X線を使った車載式X線装置が今年3月中旬警察に納入される予定。今回の納入で、従来から警察、税関、防衛庁(当時)向けに納めたこのタイプの後方散乱X線装置の実績は、累計13台を数える。
  ◇
  このほか、「GE EntryScan」、英ThruVis ion社製「テラヘルツ パッシブスクリーニングシステム」(T-4000、T-5000、T-8000、国内代理店はコーンズ ドッドウェル=東京都渋谷区東、システム機器事業部TEL03・5774・9973)、TSAが認証したミリ波パッシブボディイメージングスキャナー「brijotWhole Imager」などがある。
  更に、平成19年度の文部科学省の提案公募型研究開発事業「安全・安心科学技術プロジェクト」で開発を委託された、東北大学、マスプロ電工、中央電子が共同開発を進める国産初「ミリ波パッシブ撮像装置」が昨年、成田国際空港でのフィールド実証実験を行っており、今年完成予定の「プロトタイプ2」後の次機が完成する予定。
  ◇
  今回取材したどのメーカの機器性能等は大同小異。導入側の制限(スペース、コスト等)に見合うスペックであり、どこまで厳格に審査するか保安検査のオペレーションが最も重要といえる。