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「第2回総合防犯士会定期総会」開催

「第2回総合防犯士会定期総会」開催

総合防犯士会

平野副会長
(独)建築研究所
住宅・都市研究グループ
主任研究員 樋野 公宏氏
 
 

(2010年4月10日号)

「これからの防犯環境設計」テーマに記念講演総合防犯士会

 「これからの防犯環境設計」テーマに記念講演総合防犯士会 総合的かつ多角的な防犯対策のプロフェッショナルとして、総合防犯設備士約160名で組織した“総合防犯士会”(東京都港区浜松町1-12-4、武富正隆会長)の第2回目となる定期総会、並びに創立1周年を記念した講演会が、先に開催された。
  第1部では合同部会、及び分科会を開催。続いて、第2部で定期総会を開催、武富会長、吉田正弘・日本防犯設備協会専務理事から挨拶があり、早速、平成21年度事業報告案、同じく収支決算案、会計監査報告が審議され、満場一致で承認されたほか、22年度事業計画案、収支予算案も満場一致で承認された。その後、会員状況、同会ホームページ整備状況などが報告された。また、同会が創立1周年を迎えたのを記念して、(独)建築研究所住宅・都市研究グループの樋野公宏主任研究員が「これからの防犯環境設計」を演題に講演した。
  冒頭、平野富義副会長が「樋野先生は、(独)建築研究所住宅・都市研究グループ主任研究員で、またNPO法人しょうまち理事長、中央区生活安全協議会会長、警視庁建物防犯協力員、筑波大学大学院准教授のほか、個人的にはマンション管理士、防犯設備士の資格もお持ちです。日頃は色々日防設の活動に御協力を頂いているほか、当会の名称の元となる“防犯士”を発想された方でもあります」と講師経歴を紹介。早速、記念講演に移った。
  樋野氏は「防犯まちづくりの推進役には防犯設備士が最適ですが、現在、小学校区には1人の防犯設備士がいる事になり、適正である5人を配置するには全国で10万人が必要」で、量的拡大と併せて防犯相談ができる“防犯士”になる必要性を訴えました。
  「一方、周知の通り、犯罪者処遇には限界があるため、犯罪が遂行される環境を改善することで犯罪を事前予防するという考え方が防犯環境設計です。
  次に『安全・安心なまちづくり』の課題として、住宅の防犯施策は一定の進捗(共同住宅の設計指針や住宅性能表示制度など)を見ていますが、都市・地区レベルでの防犯の視点の導入は不十分です。自主防犯活動支援やパトロール活動等はありますが、それ以外の選択肢がないほか、地域環境の改善にまで取り組む必要性があります。また、防犯環境設計(接近の制御、被害対象の強化・回避)を追求した結果、『ゲーテッドコミュニティ』(閉ざされた住宅)が生まれました。こうした施設が良いのか悪いのかは、現在判断しかねますが、こうした閉ざされた住宅地で何が懸念されるかと言うと、地域コミュニティの分断や外部空間に視線や関心が届かない危険性、更に、設備に頼りすぎるため防犯意識が逆に低下する恐れがある事です。
  カリフォルニアでは『防犯と生活の質の両立』について調査しました。それは防犯カメラ設置や警備員の配置などによるコスト負担の継続性や総合的な観点から見た生活の質です。そこで、生活の質と両立した持続的な防犯手法を探る事を目的に、北米で最も治安が良く、北米最大の(NewUrbanismを導入した)計画的コミュニティを形成しているアーバインランチ地域を調査しました。注目したのが計画段階で警察の確認をうけるなど“空間デザインによる防犯”(道路のヒエラルキー、多様かつ窓配置を工夫した住宅、防犯性の担保など)と多層的な統治が行われている“コミュニティによる防犯”でした。これを、日本の防犯環境設計と比較すると監視性の確保は共通するものの、見通しの確保・窓の配置、目撃者の創出、生活の質・資産価値といった上位目標が日本には欠けており、地域資源を活かしつつも、持続性、独立性を持つ新たな形が必要です。
  一方、英国では内務省と副首相府が連名した防犯まちづくりのガイドライン(SaferPlaces)があります。また、『犯罪及び秩序違反法』では地域内の犯罪及び秩序違反に与える影響に配慮する事を義務化しています。ガイドラインは7つの原則(動線、監視性、所有意識、物理的防御、活動、維持管理、構成)があり、住環境や生活の質(QOL)を構成する一要素として防犯を認識するほか、概念は広範・詳細、上位概念構成の存在、住民参加を強調・地域特性を重視しています。
  活動として日本の例では、廃校等空き施設の活用や見守りフラワーポット大作戦(安城市)、未利用地のコミュニティガーデン利用などがありますが、持続するには(割れ窓理論などによる)維持管理に配慮した体制などが必要です。
  これからの防犯環境設計として、米では1980年代に(当初の防犯環境設計の考え方が)既に衰退し、現在、物理的なもののほか、社会環境、コミュニティ文化の尊重などを取り入れた“第二世代防犯環境設計”が生まれています。昔から日本では、住民・警察等様々な主体によるソフト面の防犯活動が充実・普及してきたほか、住宅・学校、公共施設等の構造、設備、配置等に係るハード面の取り組みを推進してきました。こうした幅広い視野から取り組む事が必要です。では、ゲーテッドコミュニティの様にまちを開くべきか、閉じるはケースバイケースで、判断は難しいと言えます。
  話は少しそれますが、韓国では3月18日にKoreaCPTEDAssociationの設立総会があり、私も出席しますが、こうした組織はカナダには国際CPTED協会があるほか、欧州、米国各州でも組織されています。おそらくアジアでは韓国が初めてです。我が国でも日防設、総合防犯士会を基盤に防犯研究が進むことを祈念します」と述べた。その後は会場を移し、懇親会を開催。平野副会長が開宴の辞を述べ、樋野講師が乾杯の音頭を発声、和やかな歓談が繰り広げられ、島村一郎副会長の中締めで閉会した。