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SECURITY SHOWセミナー(2)「安全・安心なまちづくりのための防犯灯の活用」

SECURITY SHOWセミナー(2)
「安全・安心なまちづくりのための防犯灯の活用」

日本防犯設備協会 防犯照明委員会 副委員長 かがつう 取締役照明本部 本部長 乗木 俊毅氏

 
 
 

(2010年4月10日号)

白色LEDの現状と課題


○犯罪と明るさ

  平成20年までの刑法犯の認知件数の推移を見ますと、平成14年をピークに減少傾向にはあります。昭和40年代までは120万件台で推移していた状況を考えますと高い数値であり、厳しい情勢です。刑法犯の発生場所としては、約半数は駐車場や道路などの公共空間で発生しています。また、ひったくりの発生時間帯別認知件数では夕方から深夜にかけて非常に発生頻度が高くなっています。
公共空間の道路における防犯照明の役割はクローズアップされると思います。公共空間の安全性を高めるためには防犯環境設計の4つの基本的な考え方をうまく組み合わせることが大切です。監視性の確保、接近の制御、領域性の確保、対象物の強化の4つです。防犯照明はこのうち監視性の確保、接近の制御、領域性の確保の3つに役割を果たしています。監視性の確保では、道路などの照明で孤立せずに第三者から見られるようになります。接近の制御では、防犯灯の明かりで犯罪者自身の情報がわかり、通行人などに近づきにくくなります。犯罪を犯す者は後で捕まりたくないので、自分の情報を知られたくないということと、通行人も危険な箇所を認識して避けることができます。領域性の確保では、防犯灯を整備することで、地域の防犯意識の高いことを示して、犯罪者の犯行を思いとどまらせる事ができます。以前に青色防犯灯が犯罪抑止に繋がるという報道がありましたが、この領域性の確保によるところが大きいと思います。地域が管理された状態でないと犯罪につけこまれやすいので、防犯灯の透明のカバーが黒ずんだり壊れたまま放置してあるとか、昼間なのに点灯したままにあるなどは犯罪が行われやすいといえます。アンケートデータでは、交差点、公園、駐車場、学校などが夜間に不安を感じる場所として挙げられています。地域行政へは、街灯や防犯灯を増やす要望が断然多く、夜の道の安全で安心感を高めるために防犯灯を増やしてほしいという期待があります。


○防犯灯の明るさ

  日本防犯設備協会では防犯灯の照度に基準を設けています。クラスAは路面の照度の水平面照度の平均値が5ルクス以上、路面から1.5mの人間の顔の位置にあたる鉛直面照度の最小値が1ルクス以上となります。クラスBが水平面照度の平均値が3ルクス以上、鉛直面照度の最小値が0.5ルクス以上と規定され、警察庁の「安全・安心まちづくり推進要綱」では、平均水平面照度3ルクス以上を推奨しておりますので、少なくともクラスB以上の明るさが確保できる防犯灯設置が望まれます。一般的に日本で多く使われているのは20Wの蛍光防犯灯ですが、ほとんど明るさがとれません。防犯灯は電信柱に付ける事例が多いのですが、ほとんどの電信柱の間隔が25m以上なのに対して、20W蛍光防犯灯では14m以下でしか明るさがとれないからです。そのため、インバータ式の蛍光ランプやLEDの40W相当であれば、クラスBを満足できるのではないかと思われます。
明るさだけではなく色の見え方も大切です。蛍光ランプやLEDは水銀灯より演色性が良く、犯罪の検挙を考えますと、人の肌や服の色の見え方も自然に近づけることが1つのポイントになっています。また温暖化ガスの削減が世界的に課題になっていますので、インバータ式蛍光防犯灯やLED防犯灯により、明るさを落とさずに省エネをしていこうとしています。防犯灯を設置していますと5年10年で街路樹の枝が伸び、光が遮られてしまいます。防犯灯周辺の樹木の選定作業を行い、古い照明器具を清掃するなど環境整備に取り組むことも非常に大事です。
いま話題の白色LEDについては、4万時間以上の寿命があり、その間インバータ式蛍光灯なら3回ほど、直管型蛍光灯なら5回交換しなければなりません。LEDは切れることはないので、初期の明るさの70%に落ちたら寿命としています。LEDは非常に小さいチップが光源となっていますので、蛍光ランプよりコンパクトな器具となり、工事の作業性が良くなり、レンズや反射板で光を自由に制御でき景観に溶け込んだデザインができます。また、蛍光ランプに比べエネルギー効率が高く電気料金も安いうえ、低温にも優れ、北海道などの寒冷地にも向いています。虫は寄りつきにくいといわれてますが、実験では多少はつきました。しかし、現状ではインバータ式に比べ値段が3倍から4倍しコストがまだまだ高いので、普及するためには大きな課題となっています。
すでに横浜市では、照明機器類すべての効率化を目指し、17万灯のうち1万1000灯をLEDに切り換えています。試験設置の結果からLED防犯灯導入の有効性が確認され、住民が重視する「安心感」と「見通し」は相関性が高く、防犯照度基準がクリアすることが住民にとって「良い」と評価されることが再確認されています。