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TAPAセミナー「欧州におけるTAPA認証施設の現状とサプライチェーンセキュリティ」

TAPAセミナー「欧州におけるTAPA認証施設の現状とサプライチェーンセキュリティ」

 
 
 

(2009年6月10日号)

オランダ、ドイツにおけるTAPA認証施設とサプライチェーンセキュリティ

  • TAPAアジア日本支部代表理事 浅生 成彦氏

はじめに、大手フォワーダーとしてヨーロッパで代表的な、オランダ・アムステルダムのTNT、CEVAの倉庫施設の視察レポートからご報告申し上げます。両社とも、TAPA基準を順守した典型的なTAPA認証施設です。TNTは1946年にオーストラリアで設立され、現在はアムステルダムにヘッドオフィスがあります。守備範囲はベルギー、オランダ、ルクセンブルグ、ドイツ、スイス、オーストリアなど、全世界にネットワークがあります。我々TAPAアジア日本支部は、中国、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドなどとともにアジアパシフィックの傘下に入っています。


○国際セキュリティ規則

国際セキュリティの規則にはどのようなものがあるかといいますと、まずアメリカのC-TPATがあります。アメリカは2001年9.11の同時多発テロ事件以降、入国に関する警戒心を強め、特にコンテナによって危険物を本土に入国させてもらっては困るということで作成したルールです。これはTAPAのレギュレーションに類似していてどちらかというとフィジカルセキュリティの分野を規定したルールになっています。それからコンテナの海上輸送セキュリティを定めたCSI。またISO/DIS28000シリーズは、サプライチェーン・セキュリティマネジメントシステムの国際版であり、ドバイ空港やロッテルダム港など、認証を受けている国の港湾や空港が世界中に増えてきています。いわばTAPAの認証条件と、ISOのマネジメントシステムを兼ね備えた規則でございます。この認証を取得すればAEOの認定に効果的であるということで、今後は急激な普及が予測されます。
一方、TAPAの規則にはTSR(トラックセキュリティ要求事項)があり、今年の暮あたりからは、ヨーロッパでもこのTSRのトレーニングと認証が開始されます。現在ロシアや東ヨーロッパでは車の盗難が圧倒的に多いため、TSR規則の認証もすぐに始めないと間に合わない状況下にあります。さらに、港湾の世界的なセキュリティのレギュレーションであるISPSコード、ヨーロッパ独自のSecure Operatorなどがあります。


○TNT

 TNTの説明によると、世界のTNTのTAPAメンバーの分布は、ヨーロッパ、アジア、北アメリカがあり、ボードメンバーはヨーロッパ、南アフリカ、アジア。また、TAPAにはワーキンググループがあり、そこにもTNTは参加し、重要な役割を担っています。このワーキンググループにおいて、貨物セキュリティをはじめ、世界の盗難事故の犯罪データが全世界で回覧されています(後述)。
欧州でのTNT・TAPAの認証施設の現状はというと、70か所のゲートウェイ施設・ハブ施設、ベルギーとオランダの空港(陸送ハブも含む)に認証施設があります。    
最初の認証はロシアで、スカンジナビア、バルト海(エストニア、ラトビア、デンマーク、スウェーデンなど)、トルコ、ルーマニア、ブルガリア、チェコと、東ヨーロッパにより多くの認証施設を保有しています。そのほかオーストラリアのメインゲート、南アフリカ、ソマリア、中東道路ネットワーク(MERN)のシンゲート施設群でも増えていまして、特に中国ではTAPAの認証が盛んに行われているようです。最近ではアジア太平洋にも範囲を拡大しています。欧州地区では合計約360ほどの認証施設があり、今後はアジア地区でも積極的に取得する(特に日本での)方針とのことでした。
AEO(特定保税運送制度)は、物流セキュリティ確保とコンプライアンスに優れた事業者をAEO事業者として認定し、税関手続きを簡素化することを目的とする制度です。わが国では日本版AEOとして、貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された事業者(輸出入者・倉庫業者)に対して、さまざまな通関手続きの特例を認めてきましたが、今年の4月より新たに、通関業者、船会社、航空会社、貨物利用運送事業者を対象に実施されています。
それではAEOがなぜ必要なのか。TNTでは、「業務上の重要性と、スムーズに荷物を運んでほしい、セキュリティを確保してほしいという顧客の要求が一番」だと答えました。今後のTNTのセキュリティに対するアプローチとしては、フィジカル(セキュリティシステムのハード版)、アクセスコントロール、個人のデータやトレーニング、人の採用におけるセキュリティ、ITセキュリティ、事業継続などを挙げていました。


○CEVA

 次はCEVA Logisticsです。売上は世界第4位の倉庫会社で、売上高は63億ユーロ(日本円で約1兆円)、やはりTAPA-EMEAのボードメンバーナンバーです。そこでの説明では、TAPAの情報資産として、IIS(Incident Information System)という盗難情報データがあり、TAPAの全世界の幹部(MC)に回覧するシステムであると紹介されました。このデータベースによるとTAPA-EMEAにおける盗難被害は、2008年で2157件の盗難、2057件のインシデント(事故)がありました。217件の重大事件は29か国にも及び、特にイギリスが66.6%と高くなっていることがIISで確認できます。
事件の種類ではトラックからの盗難が最も多く、製品では電子機器が308件、食品239件ですが、食品は前年比50%増加しています。さらに説明ではロシアでの盗難が最近急速に増加しており、それも組織的犯行が目立っているとのことです。対象は高価な家電が65%、アルコール類と食品20%で、ここにトラックセキュリティ(TSR)を導入する意義があるということでした。これらに関して、CEVAのセキュリティへの対応としては、C-TPAT(米国への輸出ルールの認証)、AEO(各施設を順次申請・認定)、ISO28000などを申請しています。CEVAの倉庫には医薬品系が占める面積が多く、ヨーロッパでは医薬品、食品、化学薬品に重要な倉庫のセキュリティを置いていることが分かります。今後は日本でも昨年のギョーザ事件の様に、これらの分野のセキュリティ強化が重要と考えます。


○ComPass

  デュッセルドルフでは、EMEAの会長が推奨したComPass Logisticsの新施設を見学しました。ここはTAPA-FSRの典型的なモデル倉庫で、欧州の大手電信会社などの部品を保管しています。デュッセルドルフの空港の近くにあるこの電子部品の倉庫は、2005年にTAPA-Aを取得し、2007年に立ち上げられました。組織はセキュリティ・ロジスティックス、トランスポートシステム、コンサルティングの3部門で構成されています。トラックの位置情報管理では、GPSとGMS(携帯電話通信)を利用しており、許可なくトラックの荷台のドアが開閉された場合、あるいは予定ルートから外れた場合には、最も近い警察に自動的に通報されます。モニタリングセンターには、すべてのステップの日時や車、担当者が記録され、地図上にトラック表示と、どの高速の車線にいて、ドライバーは何をしているのかまで追跡するようになっています。たとえばドライブインに入って15分くらい止まっているといった場合、ご飯を食べているのか、それとも積荷を入れ替えているのか、というこの2つが考えられるわけです。これはTAPAもそうですが、全世界のセキュリティシステムは、すべて疑ってかかるというのが原則です。
また、従業員の管理も非常に厳しくされていまして、犯罪歴はもとより、収入以上にお金を使っていないか、最近金遣いが荒くなったという経済状況のチェックまでも上司は監視しています。外注先の管理も徹底しています。自社のトラックドライバーも外注先も同じ基準で規則を遵守させ、パートナー会社には自社システムを提供し、毎年審査・認証を行っています。この点、日本では非常に甘いですね。外注先の管理をコンプライアンスの中に必ず明記することが重要課題だと思います。監視カメラ管理システムは24時間、自動システムなので、人が常駐する必要はありません。動きを感知すると、記録のコマ数が増加します。ここは電子機器など付加価値の高い製品がすべてですので、「セキュリティにはお金をふんだんにかけています」と言っていました。ComPass Logisticsでは最新の機器(GPS、ITシステム)が完備され、今後日本でのFSR現場トレーニングにもこのような施設の視察を取り入れる必要性を感じました。


   
 
 
 
 

国際物流における電子タグを利用したセキュリティ対策

  • 東京海洋大学海洋工学部助教  渡部 大輔氏

 DHLイノベーションセンターでの施設見学についてご報告をさせていただきます。DHLはアメリカで創業しましたが、その後ドイツポストに買収され、現在はドイツポストDHLの一員です。ですから、DHLイノベーションセンターはドイツポスト全体の研究開発の組織の1つです。場所はケルンからライン川に沿って南東約20キロ。工業団地の一角にあり、遠くからもすぐに分かるカラフルな建物です。開館は2007年3月、広さは3500平米で、1年間に1万2000人が見学しています。ショールームと研究開発機能を持っており、展示構成としては物の配送から集荷までのすべての流れについて、どのような新しい技術があるかということで展示されています。今回は電子タグ(RFID)等に関する展示内容をピックアップしてご紹介いたします。


 まずWarehouse(倉庫)ですが、これは倉庫内でUHF帯RFIDを用いたユニフォームの一括読み取りや、HF帯RFIDを用いた小包の自動認識を行っています。また、ベルトコンベア上での配送先を印字したラベルの自動貼付などが行われています。Hands-on lab(実験室)では、DHL SMART SENSOR TENPERATUREという、ここで開発された製品が紹介されています。これは温度管理の重要な食品や薬品などの輸送をインターネット上で追跡できるものです。こちらはセンサーとUHF帯パッシブタグの組み合わせ(セミパッシブ型)で、温度が高くなるとランプが光ります。センサーとタグを分けることで、タグ読み取りの精度を向上しています。Transport(輸送)では、Smart Boxという通い箱の高度化をしているようです。大きさ1メートル四方程度の通い箱に、箱の開け閉めや貨物の取出しが分かるように、RFIDアンテナが内部に設置されています。また、食品などの温度・湿度・振動の管理もきちんと行われ、さらにGPSを付けて位置情報も管理しています。コストは3000ユーロ程度とかなり高価なものです。
  Last Mile(顧客の手元に届くまで)は、柔軟性と自発性を持ったシステムを作ろうということで、受け取る人の住所と届け先を分離して考え、出張先での受け取りなども考えているようです。ロッカーなど既存インフラは、ドイツ国内に2000か所設置されています。コインロッカーの宅配ボックスのようなものですね。そういったものを使うことで、出先でもMobile Parcelを使えば受け取れるというものです。Last Mileではそのあと、Smart Truck(宅配の行動)というようなことも考えられていまして、貨物管理として倉庫内はもちろん、配送するトラックの中にもRFIDの読み取りアンテナを付けることで、ロケーションの管理などを行います。また、運転手が小型端末を持つことにより、動的に運送指示を行います。
  DHLのRFIDに対する取り組みですが、DHLイノベーションセンターではハードとソフトの研究はもちろんのこと、標準化、さまざまな分野での試験的導入、マーケティング、法的、人材育成など、ドイツポストグループ全体での研究開発の位置づけにあります。METROというドイツの小売チェーンでは、2008年秋から、フランス国内にある89か所の店舗への貨物(飲料と乾物食品)にRFIDを導入しています。5か所の物流センターを再編し、年間130万パレットにRFIDを装着して貨物管理をしています。これはフランス最大級です。積み込みなどの状況を店舗に通知し、到着後に自動検品をするということで、実際に使われています。


 また、SONYでは、オランダTilburgにあるヨーロッパ中央倉庫で、貨物トラッキングと盗難防止のためにRFIDを導入しており、セキュリティは高付加価値商品である電気製品には特に重要です。SONYは、ケルンのDHL貨物ハブ(ドイツにおけるソニー製品のゲートウェイ)への輸送を対象とした5か月間の先行実験に成功しました。このように研究開発等、実用を見越して行われています。また、GPS搭載海上コンテナを用いた試験輸送ですが、これは米国のサビネットワークス社のセキュリティを検知するコンテナ装置で、コンテナの温度や湿度、衝撃、振動、光といった輸送環境、積荷の安全状況に関する情報等をリアルタイムでモニタリングすることで、試験輸送を開始しました。
  電子タグの種類にはアクティブ型とパッシブ型があり、今までパレットレベルでよく使われているのが、電池がないパッシブ型、コンテナ等セキュリティで使おうというのが、電池があるアクティブ型です。アクティブタグの物流での利用ですが、433MHzという周波数を使うアクティブタグシステムが世界的に標準になりつつあります。出荷から入荷までのプロセスでコンテナにアクティブタグを付けることにより、開閉や位置追跡など、安全な物流が確保できるということになります。具体的な433MHz帯アクティブタグシステムの利用シーンとしては、コンテナをカントリークレーンやトランスファークレーンに付けてターミナルからトラックに積み込んだり、あるいは開閉についての情報を管理するなどの使われ方が見込まれています。2006年12月に電波法が改正され、430MHz帯周波数帯は、日本ではそれまでアマチュア無線で使われていましたが、国際用貨物に限定した上で、433MHz帯の使用が許可されております。


 次に電子タグの国際標準化についてですが、ISOの他にEPCグローバル、GS1など、さまざまな国際機関があり、これには行政、ユーザー、標準化団体、ベンダーと、多様な関係者による利害調整が必要になります。その中でISOの活動とEPCグローバルの活動をお互いに連携をしてRFIDの普及促進を図ろうという動きが進んでいます。
  日本においては経済産業省の各種実証実験等が行われ、さまざまな業種・業態での利活用が今後進むことが見込まれております。その中で重要なことは、個品レベルからカートンレベル、パレットレベル、コンテナレベルと、荷姿がどんどん変わっていくことで、そういう中で標準化が必要になります。ISOの議論の中では、レイヤ4以上はEPCグローバルのTLSで検討してくださいということで話が進められています。またコンテナに関しては、さまざまなISO規格があり、永久的につけるコンテナタグ、トランザクションとして使うようなサプライチェーンタグ、電子シールに付ける船会社タグと、用途によってISO規格が複数個あります。


 EPCglobalネットワークシステムでは、3年間にわたる国際物流の実証実験が今年の2月に終わりました。RFIDタグが海上コンテナでどう使われているのかを分析し、それを基に必要な機能を定義したところに大きな意義があります。海上コンテナ、空港貨物、トレーラー、鉄道車両に対してどう使われているのかということで、パッシブ型をCAT、アクティブ型をXCATと呼び、それぞれにタグの性能やデータ内容と形式、環境的条件、アクティブに関しては通信プロトコルを含めて検討しております。今年度中に、アクティブ型のガイドラインが制定され、ユーザーの視点から見たRFID標準化が要約される予定です。


 今年の2月、香港科技園にて香港ライブテストが行われ、さまざまな業種の方が参加し、実際にCAT、XCATがどのように使われるのかという展示がされました。ライブテストは大きく分けると2つになります。
  1つは、パッシブタグの評価テストで、パレットレベルで各国のUHF帯周波数での読み取りテストを行いました。
  2つ目は輸送、トラッキング、センサーなどについてのコンテナレベルでの評価テストです。実際に中国の工場から物流センターを出て、香港のターミナルからヨーロッパに届ける際に、他の国の帯域で、周波数の帯域をそれぞれアンテナで分けて使うというような実験がされました。実証実験は読み取り100%にはならなかったのですが、主催者の方に聞くと、「100%でないのは、制度的な問題が大きい。各国で許可されている周波数帯域のちょっとした違いでそれぞれのタグがチューニングされて、読み取りの精度もかなり変わってくるという問題点を提起できた」とおっしゃっていました。
  アクティブタグの基盤技術はセンサーネットワークを活用して急拡大し、製品としてはまだ成熟していませんが、これから低価格化する可能性もありますし、さまざまな用途を組み合わせることができます。また、EPCglobalにおけるサプライチェーン間の情報共有化を進めるためには、パッシブタグやアクティブタグの標準化が重要であるということが、今回の香港ライブテストにより、国ごとの周波数帯域の違いによる影響という形で証明されました。

 


   
 
 

ウィーン国際空港カーゴターミナルの貨物検査の現状

  • TAPAアジア日本支部代表理事 浅生 成彦氏

 ウィーン空港は東ヨーロッパの玄関口であり、ライン川に沿って市内から南東へ約15キロのところにあります。空港は旅客ターミナル、貨物ターミナル、倉庫地区(cargo north express)で構成されています。旅客数は1876万人で成田の約半分、貨物取扱量は28万トンで成田の約8分の1です。今後は東ヨーロッパを見据えたハブ空港になる予定ですから、旅客数、貨物取扱量とも増えることが予測されます。利用圏域は、ブラチスラバ、ブルノ、プラハ、ブタペスト、リュブリャナ、ミュンヘンなど主要都市のほか、オーストリア、チェコ、スロバキア、スロベニア、ハンガリーなどで、対象人口は1400万人。東欧圏の人たちから非常に利用しやすいということで、伸びていくだろうという予測を立てておりました。東欧と西欧を結ぶハブ空港として、ウィーンは年々路線数が伸びています。なぜウィーンが便利かといいますと、トランジットの時間が最短25〜30分で、これは西欧内で最短の乗り継ぎ時間だからです。フランクフルトあたりですと1時間半、ロンドンですと1時間45分かかりますから、東欧の方たちにとっては非常に乗り継ぎの利便性の高い旅客ターミナルとなっています。
  貨物ターミナルは、2006年1月に新ターミナルが運用開始されました。大手フォワーダーがこちらに自由に出入りできる倉庫を持っています。フォワーダーの外周は約1万5000平米、全部合わせると5万6000平米の敷地面積になると思います。扱っている貨物は、最大顧客は当然オーストリア航空で50%、その他大韓航空などアジアの60の航空会社、19のフォワーダー、Express各社も利用しています。輸出入の所要時間は、輸出入とも大口・小口で2〜3時間、Expressで1時間くらい。荷物が入ってから次のトランジットに行く時間が非常に速いということです。従業員は315人(倉庫300人、オフィス15人)、結果的にオーストリア人のみを雇用しているため、「全員がドイツ語を話せるというメリットがある」と彼らは強調していました。


 セキュリティ管理体制は、ウィーンインターナショナルエアポートサービスという子会社が空港の中に入っており、パッセンジャーのセキュリティ、手荷物検査、機材の点検、犯罪歴調査、エアカーゴのセキュリティなどの機能を果たしております。アニマルセキュリティもあります。動物も長時間にわたって運ばれてくると、カーゴから取り出して、税関のところで検査とともに必ず2〜3時間遊ばせ、それからまたカーゴに入れてトランジットするということで、動物を運ぶのに非常に気を遣っているようなところがありました。従業員出入り口は、IDカードチェックと顔撮影、荷物はX線でチェックをかなり厳しく行っています。監視カメラは各4台があり、監視室では9台のモニターで監視しています。従業員の方はIDカードを提出しますが、我々は外から来ましたのでパスポートを預け入れました。監視カメラは全部で800台ということで、どこにあるのか探してみたのですが、なかなか見つけることはできませんでした。
  輸出エリアは、AEO取得フォワーダーと、そうでない方と赤い線で分けられており、AEO取得フォワーダーのみ、フォワーダー倉庫からターミナルに入る権利があります。X線検査装置は大きなもので、キャリア、フォワーダーがknownであっても検査を行います。また、クラスの異なる危険物倉庫が3つあり、中に入ると薬物や化学薬品などの危険物があって、たとえば温度が上がった場合にはケミカルが爆発するということがありますので、中で温度管理をするわけです。輸入エリアでは、飛行機から降ろされた貨物を検査し、トランジットに回します。コンテナを載せると重量が分かる重量検査装置もありました。フォワーダー倉庫はターミナルと直結し、保税地域に指定されています。


 ウィーン国際空港は今後、貨物ターミナルが移転し、新しく滑走路を拡張し、同時に倉庫も移転・拡張、2015年に運用開始予定です。ウィーン空港の研究開発の方とのディスカッションでは、「本当にこれができるのか」「滑走路を拡張しても実際に利用客はいるのか」など、真剣に話されていました。ご存知のように、大手フォワーダーの荷物取扱件数が去年の12月頃から非常に減っており、ヨーロッパも日本以上に厳しい状況にあるということを今回強く感じたわけでありまして、その中でTAPAのような規則にのっとったハードの整備をすることが、今後非常に大切になっていくと感じた次第です。

 

   
 
 

オランダ・ロッテルダム港の税関検査とAEO導入について

  • 東京海洋大学海洋工学部教授 渡邊 豊 氏

 ロッテルダムの港湾は、東京と横浜と川崎の港がすっぽり入ってもまだおつりが来るくらいの広大なスケールで、その一番海側にあるオランダ税関を訪れました。


 まず、徹底的に見せられたのが密輸の実態です。密輸がどうやって行われるのか、どういう手口なのか、違法な貨物や積載物がそのまま置いてあり、見学者に見せられる状態になっていて、そのすぐ横で通関が行われていました。その後、税関の現場担当者から色々な説明を受けました。X線検査では、トラックが乗せた走行台車が低速で走りながらX線検査装置の中に入っていきます。人間が浴びたら被爆してしまいますから、ある程度進むとシャッターが降り、隔絶されます。X線検査が始まると、オペレーションセンターではその模様をモニターで監視します。トラック1台にX線を照射する検査に要する時間はわずか数分です。しかし、その数分の時間がイコールX線検査にかかる時間ではありません。照射し終わった段階で怪しげなものがあれば、コンテナを外に出して開けて調べ、その間、次のコンテナは待っていなければいけないわけで、その待ち時間も全部含めたものがX線検査にかかる時間なんです。ちなみに、たまたまここは老舗の税関だったので、未だに1つ前の世代のX線検査装置が生きていただけで、現実にはモバイル型の検査装置がたくさん出てきており、現場にそれを持って税関の担当者が行くという状況になりつつあります。


 さて、このロッテルダム港では昨年、世界を驚かす新規用地入札のニュースがありました。オランダ政府とロッテルダム市がこの用地に対して公開入札をかけ、世界を二分する巨大なターミナルクリエーター3社のうちの2社がこのマウスクラフトに参入しようとしたんですね。全世界的に有名な中国系のPSAと、元々は中東の会社ですが、今は全世界ネットの会社になっているDPワールドという会社です。当然お金の問題や環境、セキュリティなど色々な条件がありますが、下馬評ですと、オランダ政府に示した投資額が数段上のPSAが勝つと思われていました。ところが、大逆転劇でDPワールドに落札されたのです。低コストと効率を主張したPSAに対して、世界に先駆けてISO28000の認証を取得し、「安全安心」重視を訴えたDPワールドが、見事入札獲得に花開いたのです。
  これは日本も含めてアジアではなかなか起こりにくいことなのですが、実際、この度ロッテルダム港湾局の女性重役にお会いして、その謎が解けました。私が「ロッテルダム港としてはこの用地に参入しようとする企業に対して、たとえば投資額についての評価はどれくらいですか」という質問をすると、「40%です」と答えました。40%しか評価しないのです。残りの60%は、日本と桁違いに厳しい環境対策、セキュリティ対策、さらに地域の雇用対策なども評価対象です。「そのような評価基準の下でDPワールドを選びました」と、我々の目の前でハッキリとその女性重役は言いました。


 DPワールドは2006年9月、ドバイ本社でISO28000を世界で初めて認証取得しました。これを皮切りに、DPワールドのISO28000認証取得済みターミナルは、2007年にはドミニカ、カナダ、ベルギー、英国、米国、フランスと、どんどん広がっていきます。昨年はISO28000を取るという約束で入札をしてきたロッテルダム以外に、韓国でも取得しています。このように、わずか数年のうちに全世界的にISO28000を取った背景は何なのか。たとえばアメリカにはC-TPATなど、全世界に冠たるセキュリティのイニシアチブがありますが、C-TPATは残念ながらヨーロッパでは評価されていませんし、「AEOとは全く違います」とヨーロッパのAEOのガイドラインに書いてあります。となると、C-TPATを取ったところであまり対外的には役に立たないので、国際標準であるISO28000は全世界どこでも評価されますし、お客様を惹きつけるには一番選びやすかったのではないかと考えられます。
  たとえば、アメリカ、ヨーロッパ、インドにも拠点があるという企業が、必要最低限なお金と労力と時間で何か1つの規格を取りたいとすれば、やはりISOという風になっていくと思います。ただし、どこかの地域で在庫管理を徹底的にやっているような企業がISOを取ってもあまり意味がありません。やはりマネジメントをグローバルにやるような企業、そして物流の部分はどんどん外注でやっているような業界、たとえば商社の物流部は最もISOに向くのではないかと思います。それから世界的なターミナルオペレーターも同じような形態になっていくと思います。
  シンガポール政府は、シンガポール内の企業でISO28000とTAPAのような国際セキュリティ標準規格を昨年末までに取るのであれば、シンガポール政府が半分を助成すると発表しました。TAPAやISOを取るのに1000万円かかったとしたら500万円をシンガポール政府が出すというのですから、これは非常に大きいですよね。韓国も即座にこの政府助成制度を開始しています。当然、その助成制度を利用して規格を取ってくるところがどんどん出てきます。そのため、ISO本部は「全世界的ISO28000急進のため、AEOとの相互認証化へ!」というメッセージを出しました。つまり、本当の意味での普及のカーブが始まってきたとISO本部が認識したので、当初のISO28000の内容をどんな企業でも受け入れられやすいように改訂していこうということになりました。1つは中小企業も受け入れられるように、もう1つはAEOとのリンクをより明確に強化していこうということです。


 今年の初めに、テュフラインランド社に調べてもらったのですが、監査中の全世界的ISO28000は、オーストラリア5社をはじめ、ベルギー、ルーマニア、シンガポール、セネガル、アルゼンチン各1社で、それから半年経っていますから、その数はさらに増えていると思います。もちろんTAPAの数には及ばないのですが、たぶん今後はTAPAに迫る勢いで広まっていくと思われます。
  ロッテルダムに話を戻します。たとえば皆さんがオランダへ行って輸出入の物流をしようとして、そのためにセキュリティの規格をこれから取ろうとしたときに、TAPA、ISO、ISPSコードの3つの規格のうち、一体どれを取ればいいのか、混乱しませんか? 
  実は、ロッテルダム港の敷地内ならISPSコード、敷地外はTAPAというように、税関が高く評価してくれる仕組みになっています。ComPassという会社は特に、町外れの郊外にあり、どう考えてもそれは港湾や空港でのセキュリティ対象になるような特別な敷地ではなく、郊外の土地が安いところに倉庫を持っているわけです。当然優れたTAPA-Aを取っています。もし港の敷地内にいたとすれば、間違いなくTAPAではなく、ロッテルダム港湾局が求めているISPSコードを取ったということです。
  一方、ロッテルダム港域外の川の反対側に、たとえば大きな商社のようなところの拠点があり、ヨーロッパ全土に向けて日本との貿易を行っています。色々なところに拠点を持っていて、基本的にトラック会社は現地で調達しています。物流会社は現地の会社も使うし日系企業も使う。そのようにマネジメントに特化した荷主系の物流会社が、このロッテルダム港を経由して貿易をしようとした場合、TAPAを取っても意味がないし、ISPSコードを求めても意味がありません。ということは、そういうマネジメント系の会社であれば当然ISO28000だけを取ればいいということになります。


 では、特に日本版AEOとヨーロッパのAEOとの関係はどのようになっているのか。オランダ税関としてはISO28000とTAPA、ISPSコードも含めてどう評価していくのかということで、当局と議論を交わしました。「たとえば外国のAEO認定会社がオランダにやってきて、オランダで仕事をしたいといったときにどうなのか?」と質問しました。それによって、日本で皆さんが困惑している謎がほとんど解けました。相互認証とはどういうものかというと、たとえば皆さんパスポートを持って外国へ行きますよね。我々は相互認証が人間としてヨーロッパとなされています。ビザがいらない国というのは、まさに人間の相互認証なんです。日本の税関から我々人間のパスポートの情報が全部電子情報としてその国へ行き、その国のパスポートコントロールのところで我々のパスポートが正しいか偽者ではないか、本人がそこにいるかどうかを調べます。
  それと同じで、日本のAEOの企業が認定されてオランダに対して輸出入をかけたときにどうなるかというと、その時点では日本版AEOは相互認証をまだオランダとの間でできておりません。事前にその会社自身からの電子情報がオランダの税関に行くというところまでが相互認証なんです。それから先は人間のパスポートと同じで、実際にその企業がやってきたときに、その情報に基づいてオランダ税関は調べます。これが相互認証です。相互認証がかからないと、その企業は特定のフォーマットによる証明書を提出しないと、オランダ税関は一切認めません。このように相互認証というのは、相手の国の税関から送られてくる電子情報を信頼して、その内容をそのまま調べるよということであって、二度取りはしないということです。


 最後にお知らせですが、オランダ経済省企業誘致局のホームページには、AEO(許可有料物流事業者)についてのFAQsが日本語版で見られます。その中で、ヨーロッパで何か「認証を取得している場合は、申請フォームのボックス15のセクションB『認証』に記載すること」とあります。日本版AEOを持っている企業はここに書けばいいわけです。また、「ISO、TAPA、ISPSなど他の機関の証明書等を申請フォームに同封する必要はあるか」というQに対しては、「必要ない。申請フォームのボックス15のセクションB「認証」に、いずれの認証を取得しているかを記載すればいい」というアンサーがあります。そのほか、24時間ルールについての米国C-TPATとの違いや導入時期についても記載されています。ぜひご覧ください。

   

TAPA紹介/編集後記

  • 編集部

 一般社団法人TAPAアジア日本支部(幕張本部・千葉市花見川区幕張町6‐85、浅生成彦代表理事・TEL043・275・0532)は、昨年のアジア地域におけるTAPA認証施設の調査に続き、今年3月にTAPA欧州(TAPA‐EMEA)の現状を視察した。TAPA欧州幹部とのミーティングをはじめ、オランダ、ドイツでは2〜3のTAPA認証施設を訪問し、オランダではロッテルダム港の税関でのコンテナ検査状況やAEO認定にいたる各種セキュリティ規則などのミーティングも実施。また、一方、ウィーン空港ではCARGOターミナルでの航空貨物の検査・ハンドリング等を視察したほか、ドイツでは新設のTAPA-A施設をはじめ、大手フォワーダーによる電子タグを利用した商品一括管理手法なども学習した。


 今回のセミナーでは、欧州でのTAPAの普及状況とAEO導入後の税関での検査の実情等を各講師からレポートされたなど、今後の国際物流におけるサプライチェーンセキュリティの指針となる、大変貴重かつ有意義なセミナーとなった。