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ホーム >インタビュー・対談トップ >2010年6月25号 パートナー・カンファレンス2010開催

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180度撮影するHemisphericに注力 ラルフ・ヒンケルCEO&Founderに聞く

「ドアステーション」9月発売予定   MOBOTIX JAPAN
 
 
 
MOBOTIX CEO&Founder
ラルフ・ヒンケル氏
 
 
 
 

 MOBOTIX JAPAN(KJフェロー、横浜市中区、TEL045・227・6174)は、横浜ベイシェラトンホテルで、「パートナー・カンファレンス2010」を開催。同社の新製品や導入事例の紹介などに加え、IPカメラシステムに関連した講演、関係企業展示コーナーなども設けられ、多数の来場者が訪れた。
  同社が注力しているのは「Hemispheric Camera」と称する半球カメラ。魚眼レンズ、高解像度画像センサ、画像ソフトウェア、バーチャルPTZコンポーネント等を採用。天井に設置することで広範囲撮影、壁面に設置することで、アクセスコントロールに適した180度パノラマ表示が可能。周辺状況を確認でき、人がいた際には足下まで確認できる。こうした「Hemispheric」の特長を活かして、今後発売を予定しているのが、
「ドアステーションT24」。カメラを内蔵したドア周りの映像確認製品は従来からあるが、同社の「ドアステーション」では、IPによる高画質で製品化を実現。設置容易で、国際規格のVoIP/SIP対応。ドアベルが鳴った場合、ネットワーク経由でIPテレビ電話、標準PCに接続され、訪問者とのビデオ相互通話、遠隔でのドア制御が可能。「Hemispheric」の特長を活かして、壁から壁、床から天井といった領域を180度完全パノラマ表示可能。留守中に記録することで、来訪者映像の記録、イベント録画も可能。建物内に入れる人物を制御できるキーレス・アクセス、留守中等に残されたメッセージを自動再生する内蔵通知機能なども搭載。広範囲映像、高画質映像を実現したアクセスコントロールシステムとして、国内での発売が注目される。


ラルフ・ヒンケル(Dr.Ralf Hinkel)CEO&Founderに聞く

 IPカメラ市場の拡大が続く中、特徴ある筐体、独自技術が市場の支持を得ているMOBOTIX(日本窓口・MOBOTIX JAPAN、横浜市中区、TEL045・227・6174)。今回カンファレンス開催に際し、来日した同社創立者のラルフ・ヒンケルCEOに、今年の同社の取り組みなどについて聞いた。


―昨年から今年にかけての御社の販売動向は。

  昨年の世界的な不況がなければ、年35〜40%程度の成長を見込めたと思います。直近の四半期決算では30%増、米国市場では60%増となっています。


―海外のIPカメラメーカーは、全体的に厳しいと聞きますが、違いは。

  当社は単なるカメラメーカーではなく、システムをトータルで提供する企業です。そのため、他のカメラメーカーと簡単に比較できません。他社との違いとして、当社はカメラだけを販売する企業ではありません。製品面では、Hemispheric(ヘミスフェリック)という180度のパノラマ映像を実現することで、お客様のカメラ台数を減らしています。従来カメラが4台だった所を1台に減らし、しかも低コストを実現。つまり四分の一の値段で売れます。また、システム自体、例えば録画用ソフト、ビューワ用ソフトなどを全て無償提供しています。そのため、当社の場合は他社と売り上げを上げる部分自体が異なっており、単純に売り上げの競争や比較はできません。


―昨年度の経済状況は、IP市場拡大の障害にならなかったのでしょうか。

  アナログ市場は経済状況の影響を受けたようですが、デジタル市場は成長しています。私が言いたいのは、もうアナログとデジタルを比較する時期ではないということです。低解像度か高解像度かといった違いで語るべきです。アナログ自体が低解像度になっており、IPではそれを高解像度で実現できます。


―MOBOTIXの他社との差別化は。

  当社はカメラ、ソフトウェア、ハウジングなどのインターフェースも出している総合メーカーです。ソフトウェアで全て行っており、カメラメーカーの括りには当てはまらない点が最大の差別化です。カメラに留まらず、トータルソリューションを提供している点も他社と全く異なるアプローチです。


―MOBOTIXとして、今年打ち出すもの、注力していくものは。

  ヘミスフェリックと呼ぶ、半球レンズの技術を搭載したカメラが今年最も注力するものです。PCにではなく、カメラ内部でPTZなどを行っています。そしてもう一つは、当社でドアステーションと呼ぶ、ドア周りのカメラです。これもヘミスフェリック同様、180度の半球を撮影できる製品です。カメラによって、ドア周辺の状況、人の足下も見ることができます。半球レンズの技術を活かしながら、ドア周りやセキュリティなどに積極的に活用を進めていく方針です。テンキー付きのアクシスコントロールモジュールも自社開発しました。ドアステーションは、ネットワークケーブル以外に、電話線、インターホン接続線などで繋ぐことも可能です。


―ドアステーションなどの日本発売予定は。

  既にプロトタイプは、ほぼ完成していますが、正式発売は9月頃になると思います。カメラ自体が分散型システムにより、SIPをサポートする電話に直接ピア・トゥ・ピアで繋ぐことが可能です。これは当社がシステム化しているためで、サーバも不要です。当社独自圧縮方式のMxpeg/H.264双方をサポートしています。


―ONVIFなど標準化の動きへの対応は。

  当社から見ると、ONVIFはカメラメーカーのための統一規格です。当社製品は色々な機能を搭載しており、それらの機能をONVIF対応にしても、単なる一部に過ぎません。そのためサポートしていくことについては検討が必要です。当社でも標準化の動きは調査しており、来年度以降採用していく可能性はあります。当社にとっては、標準化をすることより、お客様にとって何が良いのかを重視しています。例えばONVIFへの対応が、お客様にとって良いものなのかなどについて考えながら、我々はベストのものを提供していくスタンスです。お客様にとって、如何にコスト効果をもたらすものを提供するかが当社の課題です。


―ONVIFへの対応は、良い点ばかりではないということでしょうか。

  ONVIFなどの標準化により、設置カメラのリプレースが容易に行えるようになります。ONVIF対応していくと、結果的に同じようなカメラが市場に出てくるでしょう。そしてマイルストーンのようなソフトウェアがONVIFをサポートすることで、どんなカメラでも繋がるようになります。プロトコルの共通化などが進むことで、販売は容易になります。しかし、品質が悪くなり、カメラ数量は増えていったとしても、結果的に利益自体は上がらない方向に進んでいくと見ています。


―近年急速に、HD(ハイビジョン)対応製品が増えていますが、御社としての対応、製品ラインナップへの反映は。

  当社は3メガクラスのメガピクセルカメラしか出していません。当社のプロダクトラインでは、同一のボードを採用しています。当社の考え方として、コスト効果のあるものを出すことが、当社が注力すべき点です。製品ごとに異なるボードを使って、製品ラインナップを拡大することは当社が目指すものではありません。同じボードで、全てのプロダクトラインをカバーした上で、どのようなソリューションを付加すべきかを考えています。


―高画質画像の記録に関する考えは。

  当社では分散型システムを採用しています。その結果、高品質画像を逐次ネットワークに流す必要がありません。他のカメラメーカーが、メガピクセルカメラシステムを構成する場合、大量のストレージが必要になり、録画用のPC台数、インフラ環境も必要になります。当社の場合、メモリーカードへ収納、イベント録画を実施するなどの取り組みが可能で、センター側のPCも大して必要ではありません。その結果、見積りの際に低価格で提案することを可能としています。例えばライブ映像を見る場合、一般的にはメガピクセルで見なければなりません。当社の場合、ライブで見る画像を小さくして、記録はきちんとした画像で出して行くといった点も特長です。画像配信の仕方が全く異なりますが、カメラ側でコントロールしているため、こうした運用方法が可能となるのです。大半のカメラメーカーの場合、録画の部分でコントロールしており、カメラ側ではコントロールできません。この点は大きな違いではないでしょうか。


―画像処理技術などの特長を備えるカメラが出ています。御社の画像処理への対応は。

  当社のカメラは、カメラ自身にソフトウェアを内蔵しているため、今後は、人物の行動追尾のような画像解析ソフトも、カメラに搭載する方向を検討しています。


―市場拡大の一環として、低価格化を進める可能性は。

  当社製品は、安定した価格で提供していくため、価格を変更する予定はありません。しかし、価格変更がなくても品質は向上させる方針です。製品ラインナップ拡大についても、当社は大きな視点で検討しています。


―御社製品を取り扱うパートナー企業への要望などは。

  カンファレンスで我々は今後の方針や製品ラインナップなどについて、プレゼンテーションなどを行います。その内容を当社のパートナーにしっかりと理解頂き、その情報をパートナーのお客様にも提供して欲しいと思います。それによって、当社製品を販売してほしいと希望しています。


―今後の日本市場での展開に関する考えは。

  フランスでは法律で、ビルの監視に関して、メガピクセルクラス未満の録画は認められていません。今後、日本でもこうした動きになっていくことを期待したい。日本では、「Hemispheric」製品が売り上げの半分程度を占めており、今後も日本市場には非常に期待しており、重要なマーケットです。