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ホーム >インタビュー・対談トップ >2010年2月25号 内閣官房 参事官 大石 吉彦氏

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内閣官房 参事官 大石 吉彦氏

「テロに強い社会の構築」継続的強化
関係機関の緊密な連携の下、各種テロ対策を推進
  内閣官房
     

『主なテロの未然防止対策の現状』から

 米国・9.11テロ事件後強まる世界的なテロ対策。米国との同盟国である我が国も例外でなく、今年11月にはAPEC首脳会議が横浜で開催される。こうした中、国の犯罪対策・テロ対策の総合的な推進等を目的とする犯罪対策閣僚会議が年2回継続開催されており、一昨年暮れに、「犯罪に強い社会の実現のための行動計画2008」が決定された。特に、先に盛り込まれた「テロの脅威等への対処」に基づき、テロ等の発生を許さないためのテロに強い社会の構築、外国人集住コミュニティとの連携強化、サイバーテロ及びサイバー空間における諜報活動(サイバー・インテリジェンス)への対処に必要な技術の研究開発の促進等も推進されている。そのような各種テロ対策の具体的な推進状況について、内閣官房は、『主なテロの未然防止対策の現状』として取りまとめており、その最新版が昨年末に公表された。
  そこで、安全保障・危機管理を担当する内閣官房の大石吉彦・参事官に『主なテロの未然防止対策の現状』について伺った。

―『主なテロの未然防止対策の現状』に示されている各種テロ対策の目的や経緯をお聞きします。

  テロ対策において重要なのは、テロの未然防止です。そのため、政府は特に、米国・9.11テロ事件以降、対策を強化しました。平成16年には、「テロの未然防止に関する行動計画」を策定し、これに基づき、テロリストの入国を阻止するための水際対策や、テロに使用されるおそれのある物質の管理の強化等の措置を講じてきました。同行動計画に示された対策は概ね措置されていますが、イスラム過激派等によるテロの脅威は依然として高い状況にあり、いわゆるホームグローン・テロリストの危険性の問題などテロの発生形態の複雑化や、サイバーテロ対策等の強化の必要性等の新たな課題が生じています。こうした背景の下、「テロの未然防止に関する行動計画」の成果も踏まえつつ、犯罪対策閣僚会議における「行動計画2008」にテロ対策を初めて盛り込み、「外国人集住コミュニティとの連携強化」など新たな対策を含め各種の対策を更に推進しているところです。 


―「外国人集住コミュニティとの連携強化」について、詳しくお聞きします。

  インターネットの発達等を背景として、近年、非イスラム諸国で生まれ又は育った者を何らかの方法で「過激化」させ、自らが居住する国の権益等をねらってテロを敢行させる、いわゆるホームグローン・テロリストの危険性が認識されています。こうした危険を未然に排し、外国人が集まり住むコミュニティがテロリストに悪用されないようにするため、コミュニティの住民団体等と行政との連携強化を進めるものです。


―その他の主な対策は。

  水際対策としては、テロリスト等の入国を阻止するため、APIS(事前旅客情報システム)の導入をはじめ、ICPO(国際刑事警察機構)の紛失・盗難旅券情報の活用や高性能偽造変造文書鑑識機器の配備等を行うとともに、関係機関の情報交換・連携強化等による一層厳格な入国審査を実施しています。また、国際空港・港湾における危機管理体制を更に強化するため、関係省庁担当課長等で構成される「空港・港湾水際危機管理チーム」を内閣官房に設置し、関係機関との連携強化を行い、更に成田、関西等の枢要な国際空港、東京・横浜といった港湾に危機管理官を設置したほか、空港保安委員会や港湾保安委員会とも連携を密にし、合同訓練等も実施しています。このほかでは、外国人宿泊客の本人確認等も強化しているのも一つです。


―空港・港湾というと、現場でのセキュリティ強化も必要です。

  国土交通省が中心に進めているのが航空保安検査の強化です。旅客及び手荷物のX線検査をはじめ、受託手荷物では既に平成16年12月以降、危険物を自動探知するX線検査機器及び高性能爆発物探知装置を多段階式に組み合わせたインライン検査システムを国際空港で導入したほか、平成19年からは国際線において液体物の客室内持込の量的制限も実施しています。更に、昨年末の米国航空機爆破未遂事件等を受け、より高度な爆発物探知技術の研究も行っています。
一方、港湾関連では「SOLAS条約」に則った国際港湾施設へのフェンス、照明といった保安設備の整備推進、更に国内旅客線及びフェリーターミナルには監視カメラ等の保安設備を同様に整備及び充実化しました。


―重要施設というと、原子力発電所や鉄道等もあります。

 まず、国内重要施設において所持品の開披なしに爆発物の検知が可能な高精度の爆発物探知機を新たに配備するなど、警戒警備を強化しています。また、原子力発電所などでは警察や海上保安庁による陸上・海上からの24時間の警戒警備や事業者等による防護措置を実施しています。
 一方、鉄道では警察庁・国道交通省指導の下、事業者による監視カメラの増設や巡回警備の強化を進め、更に「鉄道テロ対策連絡会議」設置による危機管理レベルの設定、「見せる警備・利用者参加」を軸とした新たなテロ対策の策定・推進等も行っています。
このほか、ライフライン施設や大人数が集まるイベント会場等については、管理者等に自主警備の強化に関して指導・助言を行うとともに、警察による警戒警備も強化しています。


―国際社会との連携の面ではいかがですか。

  途上国のテロ対処能力の向上支援のため、出入国管理、航空保安、港湾・海上保安、税関協力、輸出管理、法執行協力、テロ資金対策、CBRNテロ対策、テロ防止関連条約等を重点課題として、研修生の受入れ、専門家の派遣、機材供与等を実施しています。また、関連する国際会議にも参画しています。


―11月には横浜でAPEC首脳会議が開催されます。

  アジア太平洋地域の21ヵ国・地域の首脳が一同に会する国際会議は、テロの標的となるおそれがあることから、各国要人の安全確保及び首脳会議等の安全開催に万全を期すべく、これまでのテロ対策を基盤として、関係機関が緊密に連携しながら更なる諸対策を講じていきます。


政府主導で広範なテロ対策が強力に実施されていることにより、テロに屈しない、より強固な国であることを再び国内外にアピールすることになる。