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ホーム >インタビュー・対談トップ >2008年トップ >2008年12月25日号   広告のお申込はこちらから
 

(インタビュー)公正取引委員会 事務総局官房総務課 向井康二企画官

業界の需要予測データ公表、独禁法抵触はケースバイケース
事務局やメディアが独自集計する場合は白、会員からのアンケートに基づく場合はグレー又は黒

  編集部
 
 

 日々の経済活動を行う上で、事業者が互いに競争相手より良質・廉価な商品を提供する事で市場の活性化が図られる中、公正取引委員会(東京都千代田区霞が関、TEL03・3581・3574)は、ある特定の企業、又は団体などが市場で有利な立場を確保するため不正を働く不当廉売、取引拒絶、不当顧客誘引やカルテルなど不公正な取引方法等を独占禁止法≠ニして定め、厳しく監視している。一方、販売製品のメーカー等で組織する各種協会・団体などが組織される中、協会主導による次期需要見込み・予測なども、場合によっては独占禁止法に抵触するケースもあると聞く。そこで、業界全体の年間需要予測などは、どのような手順・手法をとってデータを集計した場合、触れる事になるか。公正取引委員会事務総局官房総務課の向井康二企画官に聞いた。

 
 
 

 ―製品を発売する際、どのメーカーも直近の需要を見越して生産調整を行います。また、半年や一年先の生産・販売見通しを出す事は通常のビジネス活動です。独禁法に抵触することはありますか。

向井 まず、協会・団体などの工業活動に関する独禁法に該当する条項を説明します。この法律の中、第3条で(私的独占又は不当な取引制限)を禁止しており、要は事業者は市場支配的地位の濫用行為や競争制限的な合意(価格カルテル、入札談合、市場分割など)してはならないと条文に規定しています。また、第8条では(事業者団体の禁止行為、届出義務)があり、その中、事業者団体は次の各号に該当する行為をしてならないと決めています。一つが、一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。二つ目は国際的協定又は国際的契約をすること。三つ目が、一定の事業分野における現在又は将来の事業者の数を制限すること。四つ目は構成事業者の機能又は活動を不当に制限すること。そして五つ目は、事業者に不公正な取引方法に該当する行為をさせるようにすることです。つまり、これらに該当するかどうかを見極めることで、違法か否かが判断されます。従って、事案ごとケースバイケースで考えられます。というのも、どの業界も大手のA社、B社といったクラスから、準大手や中小など沢山の企業が協会や団体等に加盟していると思います。業界全体で取り組まなければならない、例えば製品の使用方法のPRや事故などが起きないための警告などは協会団体が率先して実施することです。
  一方、販売価格や販売数量などを企業単独で決めるのでなく、協会団体の一致意見として出す事は、独禁法に違反し、排除措置命令や課徴金納付命令の対象となります。また、業界で販売されている製品の需要予測を出す事は、一般的な情報を収集・提供し、又は客観的な事実に基づく概括的な将来見通しを作成し、公表することは違反になりません。
  では、どういう場合、抵触に値すると判断するかというと、事業者団体に参加している事業者が当該予測に基づいて、将来の供給数量の目安となるような場合には問題となります。例えば、次年度以降の需要予測を行う場合、有力加盟企業が一カ所に集まり、それぞれが見込み数量を出し合い、そのデータを擦り合わせてから公表することは疑わしくなります。また、当該市場における各事業者のシェアが固定的な場合であれば、業界団体が構成事業者からのアンケート計画に基づき将来の需要予想をとりまとめ・公表すれば、他の事業者の将来の供給計画を予測することが容易となり、独禁法上の問題がないとは言えません。

  ―業界新聞などが各社を取材・集計したものを集めて、そのデータから需要予測を出すことは言いわけですね。
向井 これは事業者団体の行為でありませんので、独禁法第8条の問題とはなりません。市場メカニズムの下では、事業者は競争を通じて価格や販売数量を自らの判断で決定することが求められますが、事業者団体が各種のデータを提示することによって、事業者が他の事業者と価格の設定や生産数量などについて協調的な行為を行うことが容易になれば、それは市場メカニズムを阻害するおそれが生じ、独禁法上問題となるということです。いずれにしても、事業者団体において、どのような情報収集・公表活動が独禁法上問題となるか否かが判断できない場合には、公正取引委員会に相談することをお勧めします。