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ホーム >インタビュー・対談トップ >2008年トップ >2008年12月25日号「イノベーション2010」策定、3年後再上場を   広告のお申込はこちらから
 

(インタビュー)日本ドライケミカル 社長 遠山榮一氏

「イノベーション2010」策定、3年後再上場を
4事業強化や技術の集中と連鎖などが柱

  日本ドライケミカル
 
 

 日本ドライケミカル(東京都品川区勝島1‐5‐21、遠山榮一社長、TEL03・5767・3551)は、設備・メンテナンスなどの屋台骨である4事業を強力的に展開する一方、同時に人財育成や技術の集中と連鎖による開発力向上などを柱とする中期経営計画「イノベーション2010」を策定した。その結果、数年後を目途に再上場を目指す。そこで、遠山社長に中期経営計画の中身や今後の方針などを聞いた。

 
 
 

 ―TYCOから抜け出し、日本企業に戻りました。
遠山 当社は元々、昭和30年に旭硝子系の防災企業として発足後、消火設備や化学プラント関連などを主なユーザーに成長してきました。また、事業の多角化としてセキュリティ事業の国内での本格的展開を模索していた時、外資であるTYCOグループが当社をアジア拠点として展開する計画を掲げ、結果的にグループ傘下に入ったわけですが、伝統ある日本企業からいきなり外資系企業に様変わりしたため、社内では結構、混乱や戸惑いがありました。しかし、日本には国内独自の商慣習、企業文化などもあり、結果的に事業展開は上手くいかず、引き上げたわけです。その時、TYCOが保有する株を引き受けたのが大和証券SMBCプリンシパル・インベストメンツです。そして、役員で入っていた私が社長を拝命しました。

  ―伝統ある日本企業に戻って、一安心ですね。ところで、中期経営計画の中身はどういったものですか。
遠山 「イノベーション2010」を策定し、継続した事業成長、高収益体質とガバナンス体制の確立を目指します。その根底にあるのが企業理念である消火・防災のプロフェッショナルとして、将来に向け4事業(「設備」「メンテナンス」「消火器・消火・防災機器商品」「消防車」)の強化・発展を掲げました。また、事業連携による、さらなる成長に向け、個々の顧客を双方向のビジネスを展開するビジネスパートナーと捉え、4事業が相互に情報を活用する事で、更なるビジネス機会を創出するものです。
  例えば、消火器の販売強化のため、設備、メンテナンス事業に販売本数の目標を出させたほか、設備とメンテナンス部門が毎週ミーティングを行い、先を見こした複合的な事業提案から受注拡大を目指す空気が生まれています。こうする事で、全国にある販売代理店さんのサポートも強化でき、結果的にWIN・WINとなります。まさに、シナジー効果です。その為にも経営基盤の強化として、幅広い知識が持てる様、柔軟なローテーションができる人事制度の整備と人財育成、更に技術の集中と連鎖による開発力向上、全社横断的な品質保証体制の構築を掲げました。

  ―全社員が多能工になるわけですか。
遠山 そうです。消火・防災に関わる当社社員が色々な面で知識を高め、どの分野でも対応する事が可能になる事が理想です。それだけの幅広い事業分野を営業展開していますから、ユーザーが何を求めているかを判断し、即座に対応できるスキルを持ち合わせるプロフェッショナルでなくてはいけません。そのため、定期的な人事異動を行う事で可能になります。

  ―官公庁みたいに定期異動ということですね。
遠山 ある意味、そうすることは必要ではないですか。色々な角度から見られる技術・提案・解決力という経験≠ヘ。つまり、定期的な人事異動を踏まないと支店長、課長などに昇進出来ない様な制度に持っていく考えです。

  ―スキルアップのために人事異動以外で導入される事は。
遠山 色々な資格を取得する事が一番近道です。当社には全社員がどんな資格を取得しているかが分かるマップ(一欄表)があり、必要に応じて各種資格を取得してもらう等の支援は積極的に行います。また、外部の教育プログラムを使った研修を取り入れたり、現在実施している事業活動がそのまま(OJT=オンザ・ジョブ・トレーニング)として一番の教育です。当社には10年以上活躍しているベテランが沢山おり、そうした技術・知識を持つ社員を先生役(インストラクター)に社内教育プログラムを展開しています。そして『商品事業部の販売担当にも研修には必ず出なさい』と指示しています。研修を受ける事で、技術面はもちろん、精神面でもスキルアップしてもらいたいと思います。というのも、当社では中途採用も多く、新卒者を一から教育するのとは違い、即戦力として経験者を採用するケースが多く、新たな難題・課題に直面した際、動揺することなく果敢に取り組めるだけの自信を持ち続けてほしいと願います。
余談ですが、前職であった商社(三菱商事)にはそうした制度はきちっと確立していました。

―団塊の世代の大量定年などによる技術伝承問題が社会問題化しました。
遠山 当社でもあります。 
まさに、団塊の世代が支店長などの役職におり、プラント、トンネルや海外案件などを経験しているほか、一方で溶接工など特殊なノウハウを持つベテラン揃いが丁度団塊の世代です。そのため、できる限り、技術・ノウハウを後輩に伝承していくほか、現在定年制はありますが、働く意欲のある方には積極的に定年延長を勧めています。

―経営基盤の強化の中、技術の集中と連鎖とはどういうことですか。
遠山 当社には(消火器や消防車の)生産工場がありますが、本社の(設備)技術部とはまったくセパレートな状態でした。そこで、一気通貫として、本社の技術部長の下、工場技術も本社組織の傘下に入れました。というのも、元々は火を消す同じ技術であり、消火器とか消火設備などの開発技術や理念は同じです。そうすると、中期3カ年計画の下、自ずと技術部長がしなければならい事が決まり、それを命題に悪戦苦闘しています。ここでは、特に新製品や新システムの開発を着実に進めています。

―かなり、投資したのですか。
遠山 必要なものは投資しました。とはいえ、(TYCO傘下の)一時期、新製品の開発が全くなかったことがありました。メーカーという使命の一つに、時代のニーズに即した新たな製品・システムの開発と供給があります。それが全くなかったわけですから、社員も辛かっただろうと思います。結果、TYCOグループから離脱し、本来の日本ドライケミカルになれて本当に良かったと思います。
もう一つ、注力したのが、新たに本社内に「品質保証室」を設置しました。特に品質が問われる時代ですから、対外的な相談やクレームに対応できる様、窓口を一本化したのが品質保証室です。
当室長は元々三菱自工で品質保証の理念や重要性が分っている人ですから、安心して任せられます。

―今後の抱負は。
遠山 かつてのTYCOグループから抜け出せた事で、悪い膿がでたと思います。一方で、昔の旭硝子系の時は不良資産も含め、非常に透明性に欠けた旧態依然とした体質でしたが、外資系になった事で透明性が増しました。つまり、現在の財務内容は非常にクリーンと言えます。経営面でいうと、採算性の良い案件や勝ち組の顧客獲得を重視していきます。

―中期経営計画の実施で再上場は早まりそうですね。
遠山 昨今の経済情勢もあり、多少流動的ではありますが、3カ年計画の集大成となる2010年には上場(東2部)を果たし、また社員持ち株による、全社員が夢を持てる会社にする事で、同時に社会貢献できればと願っています。

遠山社長は元々、三菱商事の商社マン。その後、三菱系のファイナンス会社である米・三菱アプセクタファイナンスに出向、8年間を過ごしたが、その間、難題な問題を解決したと聞く。そうした手腕が買われ、NDCへ執行役員として入社。新生日本ドライケミカルの舵取り役として、思慮深く、かつ英断ができる遠山社長の下、蘇るのは確実。
休日は米国勤務時代に始めたゴルフなどを嗜む。