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ホーム >インタビュー・対談トップ >2008年トップ >2008年11月25日号「各々にメリットあるIPビデオ標準化へ」   広告のお申込はこちらから
 

(インタビュー)「ONVIF・岩崎研一氏(ソニー)」

各々にメリットあるIPビデオ標準化へ
他団体と協調して推進

  編集部
 
 

 映像監視市場において、注目高まるネットワークカメラ。一方、従来のCCTVシステムとの比較で、カメラメーカー間の互換性など、普及へのネックとされる技術的問題も指摘される。こうした現状を踏まえ、アクシスコミュニケーションズ、ボッシュ・セキュリティ・システム、ソニーの三社が発起人となり、IPビデオ製品の規格標準化を目指すONVIF(Open Network Video Interface Forum)が設立された。そこでONVIF発起人企業であるソニーの岩崎研一氏に、ONVIFの活動、今後の目標などを聞いた。

 
 
 

―ONVIFの概要について。
「目的はネットワークビデオ機器の国際標準インターフェースの策定、及びその普及促進です。カメラやレコーダーだけでなく、エンコーダやモニターを含めたビデオ機器間の通信フォーマットを標準化することで、異なるメーカー、機器間での互換性を確保。そのフォーマットは、全ての企業、団体が使用可能となります」

―標準化のメリットは。
「エンドユーザーにとっては、機器選定の幅が広がります。システム拡張の際、どのメーカーの製品も繋がる環境ならば、総合的に投資、運用コストを抑制できます。インテグレーター側には、機器選定の幅・自由度の向上によって、コストダウンに繋がり、柔軟性のあるシステムが可能です。インストール作業の簡素化も特長に挙げられます。ビデオ機器メーカーやソフトウェアベンダーにとっては、互換性への明確な基準ができ、一度決めたインターフェースをサポートすることで、商品化コスト削減が可能です。目的は市場拡大です。アナログならBNCケーブルを繋げれば画を出せましたが、IPでは初期設定が障害でした。カメラ毎に高度な機能やメーカー独自の特長などがありますが、ONVIF発起の3社では確認事項として、ONVIFインターフェースをサポートしていれば、どのカメラでも繋げば最低限、画が出せる所までを目標にしています。更に使いこなしたい場合は、個々の設定により対応可能です。IPへのアレルギーを払拭、IP化の加速を促すのが目的です」

―ONVIFの活動状況は。
「先月、ドイツのセキュリティエッセンショーで、独自ブースを出展しました。ここでONVIFの技術的なデモバージョンとして、クライアントソフトウェアにソニー、ボッシュ、アクシスのカメラを接続。相互のカメラを抜き差しして、繋ぐことにより、速やかにファインディングを実施。そして、IPアドレス交換を行い、相手カメラの能力交換をして画を出すデモを行い、予想以上に関係者には好評でした。ONVIFは本拠地を米国に置き、NPO法人として会費で運営していきます。今後は標準化作業のブラッシュアップを進めます。そして、ONVIF規格の採用にあたり、如何に合致しているかをテストする必要があり、そのために必要なソフトウェアツールを提供しています。

―ONVIFへの参加方法は。
「Webサイト(www.onvif.org)で、詳細な技術面も含めて紹介しています。参加レベルは、『フルメンバー』、『コントリビューションメンバー』、『ユーザーメンバー』の3つ。会費は、『ユーザー』が日本円で約十万円、『フルメンバー』が、約二百万円。世界各国の企業から既に打診を頂いており、かなり順調な滑り出しと思います。第1回フォーラム会議を、ワシントンDCで12月3・4日に開催します」

―各企業が独自に製品化を進めてきた弊害は。
「アナログのNTSCとPALのみの方が容易だったと思います。デジタルになり、ユーザーが圧縮方式を意識しなければいけない点で、問題だったかもしれません。ネットワークカメラの動向が不透明で、各社各々進んでいた面もありました」

―ONVIF設立の経緯は。

「共通インターフェースがないと市場は成長しないと見ており、他社も同様の考えだと思います。今回の動きは、発起人企業が共同で可能な範囲で準備をした結果、フォーラムという形へ自然な流れでした。インターフェースで企業が戦うのではなく、一緒に業界拡大を目指すべきです。それを踏まえ、差異化は各社が行えば良いと思います」

―フォーラム参加に対して、慎重な向きもありますが。
「IPカメラ市場で高い市場シェアを持つ企業3社がフォーラムのステアリングコミッティーということで反発が出る可能性も想定していました。そこで、フォーラムは完全にオープンにしています。
従来、基本的にカメラのコマンド体系は、httpベースのCGIコマンドを使っていました。現在、新たなインターフェースとして、ウインドウズWebサービスベースのものを検討しています。設計後、機種変更や機能追加などが柔軟に行える高い拡張性を備えており、現在、新しいインターフェースの骨子に関する公開を始めています。発起人企業に有利なものではないという理解が進んでおり、国内外のカメラメーカー、ソフトウェアベンダーやSIerからも多くのコンタクトがあり、当初心配していた反発より、応援といったメッセージを頂いています」


―ソフトウェアベンダーは、標準化で優位性を失うケースもあるのでは。
「多くのカメラをサポートしてきた強みを持つメーカーにとっては、共通化によって一時的に強みを失うことにはなるかもしれません。ただし、企業が新たな機能を出す場合には、それに対応するソフトが求められます。標準化はインターフェースが全て同じになるのではなく、共通で使うところが同じになることです。開発工数に時間を割く必要がないメリットもあるため、ソフトウェアベンダーの強みは保てるのではないでしょうか」

―別のフォーラムも活動していると聞きますが。
「PSIAと言う新しい団体が、米国でONVIFとほぼ同時期に活動を開始したようです。業界内に二つのスタンダードを作ることは双方が目指すことではないので、既にPSIAの主要メンバーとはコンタクトをとり、話し合いを始めようとしています。一つの標準インターフェースとなるための話を進めていく方針です」