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2010年1月10日号 指導の「想い」は実感から

指導の「想い」は実感から

 
地域安全マップ指導員全国大会の意義 −特定非営利活動法人地域安全マップ協会 副理事長 中尾 清香−
 
 
セキュリティフォーラム
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(2010年1月10日号)

 2009年12月9日、東京・品川にある立正大学石橋湛山記念講堂にて地域安全マップ指導員全国大会が開催された(立正大学文学部主催)。2007年から続くこの大会は、今年3回目を迎えた。地域安全マップとは、犯罪機会論に基づいて考案された危険予測(被害防止)の教育手法だ。老若男女問わず誰もがいつでも実践でき、たった一度の体験でも危険箇所の判断基準を身に付けられると、近年注目を浴びている。大会は開発者である立正大学の小宮信夫教授(犯罪社会学)の開会宣言でスタート。「今日という日が地域安全マップ普及の大きな一歩になってほしい」と願いを込めた。
  続いて、大阪・池田小学校事件の被害者遺族、本郷紀宏氏が講演。事件当日の状況を報告し、教訓として犯罪者に犯行の機会を与えないための予防策が必要だと指摘した。そのために、学校には独自の防犯マニュアル作成と地域安全マップ作りを要望。行政には「危険が潜む場所に対しての具体的な対策を立てて欲しい」と語った。
  次に、「地域安全マップの歴史」と題したビデオ上映が行われた。これまでの取り組みを時系列で見ることによって、この活動がどのように発展してきたのかが理解できる。また、作成風景はもちろん、指導員の学生や体験した子どもたちの感想から、地域安全マップがそれに関わる全ての人に感動を与えていることが分かった。
  パネルディスカッションには、司会進行も含め地域安全マップ作成に取り組む行政、学校、ボランティア、大学生など8名が参加。各地での成功事例を報告し、今後の課題とその解決策を検討した。議論の中心は継続的に実施するための仕組み作り。そのためには指導員の育成、理解者の増加が必要だという意見が相次いだ。
  その後、シンガーソングライターの普天間かおりさんがミニコンサート『守りたいもの』で4曲を熱唱。命や平和の大切さを歌に乗せた。最後は立正大学生による防犯サンバの実演で幕を閉じた。
  私は学生時代から地域安全マップの作成と指導に取り組んでいる。大学を卒業し、社会人になって4年目を迎える今でもだ。実際に指導員として従事している時は無我夢中で、振り返る余裕などなかった。「きっとこの活動が役に立っているはず」と信じ、そこから得られる達成感だけのために続けてきたようなものだ。全国大会では、信じていたものが次々と立証され、確信に変わる。そして、想像していた以上に意義のある活動だったと気付き身震いすら覚えた。特に、講演で本郷氏が語った「守りたいという気持ちだけでは我が子を守ることはできない。日頃の備えがどれだけ重要か…」という言葉には実際に子どもたちを指導する立場として感じ入るものがあった。
  地域安全マップ指導員全国大会は、その普及がメインの目的ではあるが、もう一つ大きな意味を持つと思う。それは指導員の自尊心向上だ。自らが取り組んでいる活動の意義を知る。そして、それによって指導員それぞれが活動の目的を明確に抱く。このように考える機会があるのとないのとでは、指導にも雲泥の差が出るような気がしてならない。指導の仕方はマニュアル化できても、その根底にある「想い」は実感以外からは形成されない。私も含め、大会に参加した指導員は少なからず「自分の役割」を実感したはずだ。そしてその瞬間が、今後の発展に向けた出発点である。来年、再来年、5年後、10年後…年を重ねるごとに、同じ想いを抱いた仲間たちが全国各地にどんどん広がっていく。地域安全マップ全国大会はそんな可能性を秘めている。